BLOG睡眠改善ブログ
POSTED | 2016.04.10
CATEGORY | 掛け寝具
羽毛布団がペッタンコにつぶれた!そんな時は仕立て直しがおすすめ
約25年前、結婚する時に親御さんが買って持たせてくれたダブルサイズの羽毛布団をお持ちになりました。
お話を聞くと、所々中身が減って薄くなってるし、サイズも変えたいというお話でした。
過去に何度か丸洗いをされて、お手入れされていたとのことでした。
「羽毛布団を広げて診断開始」
広げてみて気になったのは、羽毛の片寄りです。
お客様が言うように、部分的に薄い所とモコっと膨らんでいる所がありました。
(ヘタなイラストですいません。黒い部分がペシャンと、ヘタってる部分です。)
キルティング(羽毛布団を縦と横に仕切っているミシン目)をよく確認すると、側生地の中の仕切り部分に大きな穴が開いていて、この部分から中の羽毛が移動したのが片寄りの原因と分かりました。
仕切り部分になぜ穴が開いているかというと、この穴に専用のノズルを通して一マス一マス区切られている側生地の中に、羽毛を充填していくわけです。
昔の羽毛布団はこの部分の穴が大きかったりしたので、羽毛の片寄りが起き易いという欠点がありました。
(この穴は側生地の表面からも確認出来ます。)
現在の羽毛布団はこの点が改良されて、吹き込み作業が終わるとその部分の蓋が閉まるような独自の構造のキルティングがされていたり、羽毛が移動しないような弁がついていたりと色々と工夫がされています。
側生地自体に破れはなかったのですが、全体に色褪せていました。
ただ、使用年数の割には非常に側生地の状態はよく、大切にお使いになられていたのが分かりました。
次に中身の診断です。
側生地の端をほどいて、専用の羽毛診断器で中身を吸い出してお客さんと一緒に確認します。
羽毛の状態は約25年使っていたので、やはり傷みは進んでいました。
買われた時は大きな羽毛が入っていたんだと思われますが、現在の状態はどれも小さな羽毛ばかりになっていました。
(*新品の上質な羽毛の画像です。タンポポの綿毛みたいにふわっふわです。)
(*長年使った布団の中の羽毛です。もっと大きかったと思いますが、とっても小さいです。)
これは使っている間に羽毛と羽毛が擦れて千切れてしまった結果です。一度千切れてしまうと元に戻すことは不可能です。(寝汗などの影響で縮こまってもいます。)
長く使っているとペッチャンコになって、温かみがなくなる保温力の低下の大きな原因の一つです。
診断をしてみて
『所々中身が減って薄くなってる』という原因は、キルティングの羽毛吹き込み口の穴が開いてることで、羽毛が移動してしまったことが原因だと思われます。
一度移動(片寄り)してしまうと今の側生地のままで元に戻すことは無理なので、新しい側生地に入れ直す『仕立て直し』を提案しました。
『サイズも変えたい』ということで、ご希望のサイズを伺ったら、セミダブルがお望みでした。
「これからはどなたが使われる予定ですか?」とお聞きすると、お客様本人(小柄なご婦人)とのことでした。
「シングルでも横幅150cmありますよ」と店にある布団を広げて掛けていただいたところ、「これでも十分ね」と言われて、サイズ変更はシングルになりました。
セミダブルは170cmです。大きい方がゆったりしていいのですが、割高になりますしカバーサイズも当然違ってきます。
小柄な女性であればシングルで充分ですので、納得頂けました。
後は、羽毛が千切れて小さくなっている状態は保温力の低下の大きな原因ですので、新しい羽毛の補充を提案しました。
新しい羽毛の補充は、古くなった羽毛を何割か除いて、その分新しい羽毛を補充することをいいます。
ただ単に新しい羽毛を足してしまうと、布団の重さがどんどん重くなってしまうので、入れ替えを行なうわけです。
羽毛の状態にもよりますが、7割も8割も入れ替えてしまうと、買った方がよくなりますので、状態によって違いますが今回は3割の入れ替えを提案しました。
「結婚した時に持たせてもらった羽毛布団を20年以上お使いのあなたはこうすべき!」
布団を広げてみて、真ん中がペッシャンコで隅っこの方が膨れんでいたら、キルティングの穴が原因で片寄っているのかもしれません。
サイズがダブルだったりすると、大き過ぎて一人で使うには持て余す場合もあります。
仕立て直しをすると、片寄りも解消しますしサイズ変更も可能です。
料金は掛かりますが、羽毛の入れ替えをおこなえば保温力も復活します。(傷みが進んでる状態によっては、羽毛入れ替えをお薦めしない場合もあります。)
親御さんが持たせてくれた大事な羽毛布団、暖かくなって押入れに仕舞う前に一度お手入れを考えてみてください。
「今回のポイント」
- 思い入れのある品物は、お手入れをすることで長く大切に使うことができます。
- 傷みが進み過ぎてからお手入れするよりは、定期的なお手入れの方が品物の品質を保ちます。
- 羽毛布団は長くても10年前後で一度お手入れのご相談をお薦めします。
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